アフガニスタン撤退、ベトナム戦争の教訓は?

衝撃的なニュースが世界を駆け巡っています。
アフガニスタン情勢です。

evocative of the fall of Saigon(サイゴン陥落を思い起こさせる)と、米国メディアは盛んにベトナム戦争最後の光景になぞらえています。

米軍撤退後のタリバンの攻勢は想定されていましたが、一週間足らずでカブールが陥落するというスピードは米国政府も想定していなかったことです。

そもそも米国と同盟国によるアフガニスタン戦争/紛争は、20年前の2001年9月11日の同時多発テロがきっかけでした。それから20年におよぶ米国最長の戦争(休戦状態の朝鮮戦争を除く)に、米国民の多くも撤退を支持しています。撤退自体は、トランプ前政権からの既定路線ですが、その撤退の仕方で醜態を晒すこととなってしまいました。

ベトナム戦争は米国にとってトラウマとなっています。多大な犠牲を払いながらも米国が初めて負けた戦争です。その教訓もほとんど生かされぬまま20年続いてきたアフガニスタン戦争。

20年前の同時多発テロ当時、私は米国フランシスコに住んでおり、日本のメディアにコラムも執筆していました。

その時に、マクナマラの言葉を引き、ベトナム戦争の教訓として、次のように書きました。

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これで思い出すのは,ケネディ政権とジョンソン政権で国防長官を務めたロバート・マクナマラの言葉である。自らが当事者として深く関与し「マクナマラの戦争」とさえアメリカでは言われたベトナム戦争を振り返って「我われは間違っていた。恐ろしいほどに間違っていた。」と言う。自らの誤りを冷静かつ誠実に認め,いかに間違っていたのか,そこからどのような教訓が導き出されるのかを説明するために書かれたのが,1995年に出版されたIn Retrospect(邦訳『マクナマラ回顧録』)である。

同書の中でマクナマラは述べる。「我われの判断の誤りは,その地域の人々の歴史,文化そして政治に対する根の深い無知とその指導者の性格と性癖に対する無知であった。」

またこうも分析する。「自らの信念と価値観のために戦い死ぬことを動機づけるナショナリズムの力を過小評価した。」

つまり政策決定に関わる高官レベルでは,当該地域を知悉した専門家が存在せず,その無知がアメリカをしてベトナム戦争に泥沼的な介入を進めさせる大きな要因の一つとなったと分析しているのだ。

●Robert Mcnamara, “In Retrospect: The Tragedy and Lessons of Vietnam”

 

このコラムは、Vital English-英語勉強会のメルマガで配信した内容の一部再録です。

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