天皇・皇后両陛下の英語力 【オバマ自叙伝】

 

2020年11月17日に、米国のオバマ前大統領の自叙伝 “A Promised Land”が全世界一斉発売となりました。
なかなか完成しない、と以前から話題となっていた著書。結局、上下2巻本となり、今回はその上巻のみの発売。これだけで700ページを超える長大な自叙伝です。
時差の関係で米国よりも早く日本では入手可能となったので、私も早速 AmazonのKindle版をダウンロード購入して、ざっと目を通しました。

日本のメディアでは、鳩山首相への評価についての箇所を共同通信・時事通信・NHKなどが誤訳した、ということがもっぱらニュースとなりました。

“A pleasant if awkward fellow,”の部分ですね。

これについては、翻訳家の鴻巣友季子さんによる優れた解説がありますので、そちらに譲ります。

日本に関する内容は、鳩山首相についてはごくわずかですが、一番印象的だったとして好意的に詳しくオバマが書いているのが天皇・皇后両陛下(現在の上皇・上皇后両陛下)です。

その最初の部分は、次のように始まります。

A brief visit with Emperor Akihito and Empress Michiko at the Imperial Palace left a more lasting impression.

Diminutive and well into their seventies, they greeted me in impeccable English,
with him dressed in a Western suit and her in a brocaded silk kimono, and I bowed as a gesture of respect.

天皇・皇后の方が、鳩山首相より “a more lasting impression”(より記憶に残る印象)を与え、そして両陛下は “impeccable English”(完璧な英語)で挨拶されたと。

“impeccable”は、「非の打ち所がない、欠点のない」という意味。語源的には、ラテン語でpeccareは「罪を犯す」ということですから「罪を犯さない」が原義です。
この場合は、”perfect English”と言い換えてもいいですね。

ちなみに、このオバマの自伝、Kindle版ですとかなり安いので、興味ある方はダウンロードしてざっと眺めてみると面白いかと思います。

●Barack Obama “A Promised Land”

このコラムは、Vital English-英語勉強会のメルマガで配信した内容の一部再録です。

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